smashkko ([personal profile] cringekingsmashko) wrote in [community profile] quicklistener2020-01-19 10:40 am

Naito Interview Part 1 2020.1.18

NEW JAPAN PRO-WRESTLING OFFICIAL WEBSITE TETSUYA NAITO INTERVIEW 2020.1.18



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ーーさて、内藤選手。まずは東京ドーム、そして大田区の3連戦、お疲れさまでした。

内藤: フフフ。どうですか? 逆転の内藤哲也を“堪能”していただけましたでしょうか?

ーーたっぷり堪能させていただきました。ただ、ビッグマッチ連戦の後でもそれほどお疲れじゃ ないように見えますね?

内藤: んなこたあ、ないですよ。

--東京ドームの一夜明けや二夜明けで記者会見に出られる方って、結構げっそり感が出るんで すけど、今日の内藤選手はかなりイキイキしている感じがしますね。

内藤: まあ、シングルマッチ2連戦も、場所が東京ドームじゃなければやったことはあります し、3連戦の経験だってシリーズでありますからね。

――『G1』に比べたら大変じゃないってことですよね。

内藤: だって、去年の後楽園から2週間近く休みがあっての3連戦ですから。まだまだ俺は元気 ですよ。シリーズ最終戦のほうがヘトヘトかもしれないです。

ーーあとは、やっぱり精神的なものも大きそうですけど......。

内藤: それは大きいですね。もちろん身体は痛いですけど、こうやってちゃんと“結果”が出た わけですから(ニヤリ)。

ーーなんか......、かなりひさびさに内藤さんから余裕を感じますね。

内藤:ハハハハハ!

ーーそんな内藤選手にまずお聞きしたいのが、先日の東京スポーツに出ていた記事についてで す。年末の公式のインタビューではボカシていたんですけど、「右目上斜筋麻痺」という病気 になっていたと。

内藤: ハイ。右目の......上斜筋が麻痺し始めたのが去年の5月ぐらいからですね。

――上斜筋っていうのは具体的にはどの場所なんですか?

内藤: (指をさしながら)この右の目ン玉の上についている3つの筋肉のうちのどれかですね。

――つまり、目を支えている筋肉のうちの一つなんですね。

内藤: そう。その1本が麻痺しちゃっていたと。本来は目ン玉を支えている筋肉なんですけど、 それが麻痺しているから支えきれな
い。だから、目のピントが合わない。片目だけだったら見 えるんですけど、両目を合わせた時に見えないんですよ。

ーーそれは、試合をしている時はどんな感じになるんですか?

内藤: 対戦相手の目が4つに見えますね(アッサリと)。

――目が4つ!つまり、相手が二重に見えるような感じですか?

内藤: まあ、そんな感じですね。だから、8人タッグマッチで4vs4だと、相手が8人いるみたい な。あと、ロープは完全に6本に見えてました。

--えーと・・・・・。コレは盛って話しているわけじゃないですよね?

内藤: 盛ってないですよ! だから、10月に両国国技館で試合をした時は、ボクの目には2階席 の上に3階席が見えてましたから。

--3階が見えた......。そんな状態だと、日常生活にもかなり差し障りがあったんじゃないです か?

内藤:大変でしたね。ただ、悪いほうの右目をちょっと閉じるとなんとなくピントが合うんで すよ。

――じゃあ、大事なものを見るときは、常にウィンクしているような状態というか。

内藤: そういう状態です。だから「これをやらなきゃいけない」っていう集中する時は軽く目 を閉じてやっていました。

――記事によると、当初は会社にも言っていなかったということなんですが。

内藤: あの~。俺、病院に行くのが嫌いなんですよね(アッサリと)。

――なんとなくわかります。内藤選手のプライベートの、よく言えば楽観的というか、悪く言え ばズボラな感じというか......。

内藤: ハハハ! まあ、「寝てたら治るんじゃないの?」みたいな。でも、さすがに今回ばか りは寝ても寝ても治らなかった。

――寝ただけじゃダメでしたか。

内藤: それから自主的に眼科に行ったんですけど、それでもダメで。

――何回かお医者さんを変えたんですよね?

内藤: ええ。トレーナーの先生に相談したら、眼科、脳外科、耳鼻科を勧められたので、それ ぞれ行ってみたんですけど、それでも原因がわからない。さらに相談してみたら、「大学病院 に行ってちゃんと調べよう」ということになったんですよ。それが去年の9月ぐらいですね。

--もう『G1』が終わってるじゃないですか。

内藤: ハイ。だから、優勝できなかった言い訳じゃないですけど、あの時期はリングだけに集 中できてなかったです。物が二重に見えることが多かったんで、普段から躓くことが多くなっ ちゃって。リングに上がる時の階段とかロープをまたぐ時とか、もの凄く気をつけていました ね。

--注意しながら、ソロリソロリ歩く感じで。

内藤: そういう、いままで気を遣わなくてもいいところにも気を遣わなければいけなくなった んで、試合にあまり集中できなかったんですよ......。あと、俺は今まで(試合後の)コメント を凄く大事にしてきたんです。

――ハイ。よく存じ上げています。

内藤: いままでは試合に100、コメントにも100みたいな感じで力を入れていたんですけど、 150の力を入れないと試合ができない状態になってしまった。コメントは残りの50でしかできな い。「そんな中途半端にコメントするぐらいだったら、コメントしたくないな」と思って、そ の頃からノーコメントにしていました。

ーーそれがノーコメントが多くなった理由だったんですね。でも、そんな状態でリングに上がる のはかなり危険なのでは?

内藤: そうですよね。だから、シングルマッチじゃない日はメンバーにかなり助けられまし た。

――実際、メンバーの皆さんは内藤さんの状態を知っていたんですか?

内藤: なんとなく「目が悪い」っていうことだけは知ってたと思います。ハッキリとした症状 まではわからなかったと思いますけど。

ーーそんな症状が5月から始まっていたわけですね。

内藤: 9月にやっと原因が判明して「これは手術しなきゃいけないな」って思ったんですけど、 新日本プロレスには休みらしい休みがなかなかないですから。東京ドーム明けかなと思ってい たんですけど、偶然にも『WORLD TAG LEAGUE』の後半から長い休みだったから、「じゃ あ、ここでやろう」と。

--ぶっちゃけ年明けまで引っ張っていたら、いま二冠のベルトを持っていたかどうかも怪しい ですよね。

内藤: 無理だったと思います(キッパリ)。だから、そういう手術のタイミングも含めて、“逆 転の内藤哲也”の舞台が全部揃ってしまったんですよ。

ーーでも、年末に手術ができたのはよかったですよね。その目の件は社内でもほとんど知らなか ったですし、昨年後半は誰もが心配するほど、明らかに元気がなかったですよね。

内藤: 実際に「俺はこのまま終わるんだ......」と思いましたから。というのも、俺は上斜筋で すけど、ミラノ(コレクションA.T./引退)さんは下斜筋を麻痺させて引退してますからね。

――あ、ミラノさんの引退の原因はそこだったんですか。

内藤: ミラノさんは両目の下斜筋が麻痺したって言ってました。

ーーそうだったんですね......。ちなみに内藤選手はどのような手術で治ったんですか?

内藤: お医者さんによると、その麻痺している筋肉をギュッと一つに縛ったらしいです。それ によって目ン玉を固定したみたいな感じですね。

--筋肉を縛る! 3本の筋肉を1本にまとめて力強くしたということですかね?

内藤: 要は目を支える筋肉が麻痺しちゃってるんで、筋肉が緊張していない。ふにゃっとなっ ている状態なんですよ。それを縛ることで“補強する”というか。だから、改善はされてますけ ど、去年の5月以前の目とは明らかに違いますね。やっぱり、100には戻らないみたいです。

――完全には元通りにはならないと。でも、手術前の状態を考えたら......。

内藤: 全然いいですよ! いまだって正面もちゃんと見えてますからね。ただ、上目遣いをする とちょっとキツいですね。ピントが合わない。

ーーそういう不都合もあることにはあると。

内藤: でも、そういう状況があったから、去年の後半とかに「いまの俺はいましか見せること ができない。だから、いまを見てほしい」みたいなコメントを言っていたんですよ。内心では 「俺はもう終わるのかもしれない」とも思ってたんで。

――高橋ヒロム選手が東京ドームの試合のあとに「プロレスは危険なんだ。いつ何があってもお かしくないんだ」っておっしゃっていたんですけど、内藤選手もまさに一戦一戦がギリギリの ところで闘っていたんですね。

内藤: そうですね。でも、高橋ヒロムもそうですけど、「引退」という言葉が頭によぎった経 験のある選手って強いかもしれないです。時間に限りは絶対にあるし、だからこそ「全力でや らなきゃあとで後悔する」って思いますから。引退がちらついたからこそ、いまの高橋ヒロム は強いと思います。まあ、俺もなんですけどね。

--それにしても、目の手術ってめちゃくちゃデリケートな感じがしますよね。やっぱり全身麻 酔ですか?
内藤: 俺は全身麻酔を希望したんですけど、手術の日程は一泊二日だったんですよ。だから、 お医者さんに、「一泊二日だと全身麻酔は翌日キツいかもしれないので、局部麻酔でいきまし ょう」って言われて。

――局部麻酔になったと。それは右目だけに麻酔をするということですか?

内藤: そうですね。目ン玉の下の窪みと上の窪みにけっこう長い針を入れました。

――目の窪みに長い針!

内藤: で、その針を2本入れて麻酔を打つ。感覚的には、ちょっと意識朦朧な感じでしたね。

――でも、手術している風景は見えているわけですか?

内藤: いや、こっちの感覚がないので目ン玉とかもどこ向いているのか、わからない感じです ね。ただ、意識朦朧な中でも、眼球を“押される”感覚が凄いあったんですよ。痛いとかじゃな いんですけど、「やたらと押されるな」と思って。

――なるほど。

内藤: それで手術後1週間の検査の時にそのことを聞いたら、「ああ、眼球を切ってたからさ」 と言われて。どうやら眼球を切っていたらしいです(ニヤリ)。

――が、眼球を切っていた....!?

内藤: で、眼球を切って、処置して縫ってたらしいですよ。だから、術後、なんかチクチクし てたんですよ。眼球は痛いし、チクチクするしで何かと思ったら、縫ってたらしいです。眼球 って、針を入れたらパチンと弾けるイメージがあったんですけど、切れるんですね。眼球って 切って、縫えるらしいですよ。フフフ。

――恐ろしいですね。それ手術前に聞かなくてよかったですね。

内藤: いや、本当ですね。手術前に聞いてたら、想像しちゃって怖くてしょうがなかったです ね。まあ、ある程度の説明は受けていたから、俺が忘れていただけかもしれないですけどね。

ーーそのへんはズボラでよかったと(苦笑)。でも、目のこともあり、地の底まで落ちたところ から、年末にいろんなピースが揃って、終盤になって一気に上向いてきた感じでしたよね。

内藤: そうですね。“あの4人”の輪に入れたのも、ギリギリセーフでしたから。

ーーあの11月の大阪府立大会で、「内藤さん、元気ないな」っていうのを凄く感じたんです よ。4人が揃ったリングで誰よりもエグいことをしゃべるのが内藤選手なのに全然言わなかっ た。というか、あの時点では「まだまだ」の状態だったんですか?

内藤: ええ。あの時点では、病院に予定は仮押さえはしていたけど、まだ手術日が決まってい なかったですからね。

--そもそも「いまは、こんな所にいるけど、東京ドームに出られるのかな?」みたいな感じ で?

内藤: ぐらいには思っていましたね。


――そうでしたか。それでは東京ドーム2連戦に話に移しますけど、2日目のオカダ戦は内藤選 手のキャリア集大成のような、素晴らしい試合でしたね。

内藤: まあ、俺の5日の対戦相手は、「理想も予想もオカダ」だったんですよ。オカダと5日に2 つのベルトを懸けて、メインイベントでシングルマッチをしたいと。だから、何度も言ってま すけど、オカダの入場をリングで待っている時に、「いよいよ完全に舞台が整ったな」という 心境でした。

ーーなるほど。

内藤: 俺、オカダの入場を東京ドームのリングの上から見るのはコレで3回目なんですよ。全 部、俺が先に入場して、オカダを待つ。でも、こんなに余裕を持って、オカダの入場を見れた のは初めてですね。
――前の2回とはかなり違っていましたか?

内藤: まあ、前回も余裕がなかったわけじゃないですけど、今回のほうが遥かにありました よ。とくに前々回(2013年)はヤバかったですね。

――例のファン投票でメインの試合順を決めた試合ですね。それにしても、凄い試合でしたね。 とくに終盤はドンドン盛り上がっていって。

内藤: まあ、5日は4日よりもお客様の数が少なかったし、前半の試合を見ていても、「4日ほど の反応じゃないな」と正直思ってたんですよ。だから、俺の試合もどうなんだろうなと思って いたら、入場時から1万人少ないのをまったく感じさせない盛り上がりでしたね。

――「内藤」コールや「オカダ」コールもですけど、打撃戦の時に後押しする声も凄かったです
し。

内藤: 2017年の棚橋(弘至)戦ぐらいからかな? 「東京ドームのプロレスってこういう感じ なのかな?」って、やっと感覚がつかめたんですよ。ワンテンポ遅れる歓声とか、あれは東京 ドームでしか味わえない経験なんですけど、「懐かしいな」とか思いながら、東京ドームの真 ん中で試合ができましたね。そういう舞台で何度も何度もタイトルマッチをやっているオカダ っていうのは、そりゃあ敵わないですよね。あれを何度も経験しているっていうのは本当に強 いですよ。

――じつは前日に、オカダvs飯伏戦をモニターで見ている内藤選手を一瞬、目撃したんです
よ。

内藤: あっ、見られてましたか。

ーーあの試合はどうご覧になりました? それこそ、飯伏選手はオカダ選手と違って、東京ドー ムのメインは初めてでしたけど。

内藤: ......コレは、俺の目線になりますけど、あの試合が両国でやっていたら飯伏が勝ってた かもしれないですね。

――ああ、なるほど。

内藤: ただ、たしかに会場が大きかろうが、リングの大きさは変わらないですからね。「じゃ あ、何が違うの?」と言われると、答えにくい部分はあるんですけど、東京ドームで試合をし たオカダと飯伏には明らかに差があったように俺には見えました。俺の予想も理想もオカダで したけど、試合を観ている時も「ああ、たぶんオカダになるだろうな」っていう試合に見えま したね。それぐらいオカダからは余裕を感じました。



ーーそうですか。話をオカダvs内藤戦に戻すと、自分の知り合いの内藤ファンの方は、誰に聞 いても「スターダストプレスのシーンで泣いた」と言っていました。

内藤: あら、そうですか。でも、アレは結構ドキドキしましたね(笑)。

ーースターダストを出したのは、かなりひさしぶりでしたよね。

内藤: 2017年の『G1』決勝のケニー・オメガ戦でやりましたね。あとは2018年の東京ドーム のオカダ戦でもやりました。その2回だけですね。でも、2回とも失敗。自爆です。

--今回は最高の舞台で、完璧にヒットしました。

内藤: ええ。コーナーに上がる前に胸を2回叩いているんですけど、「ここで決めるしかない ぜ!」という気持ちと、あとは俺をロス・インゴベルナブレスの世界に入れてくれた仲間たち に向けた「さあ行くぜ!」っていう気持ちの表れです。

--スターダストプレスはロス・インゴ以前の必殺技ですけど、だからこそ、ロス・インゴ創立 メンバーや仲間たちへの気持ちも乗せたということですか?

内藤: そうです。そういえば、よくこういう風に言われているのも知っていますよ、「内藤っ て、スターダストができなくなったから、デスティーノにしたんでしょう」って。

――ああ、使用する技の変化に関しては、そういうことを言われがちですよね。

内藤: でも、スターダストは別にできなくなったから捨てたわけじゃないんですよ。俺はメキ シコでデスティーノに出会って、「俺はロス・インゴベルナブレス、デスティーノで勝負する んだ!」って決めたから、スターダストをメキシコの地に置いて日本に帰ってきたわけで。だ から「できないからやらないんじゃないんだよ。できるけどやらないんだよ」っていう意地が 俺にはあったんですよ。

--ホントはできるけど、あえてやらないんだぜと。

内藤: 今回、これだけ注目される舞台でスターダストをやって、しかもヒットさせたわけです よね? 「ほら、俺はできるでしょう?」って、皆さんにお見せできたわけですよ。まあ、返さ れましたけどね(苦笑)。

――でも、あそこまで温存させていた意味がメチャクチャ出ていましたね。逆に言うと、温存し ていたスターダストプレスを繰り出しても決まらなかったことにも、また大きな意味がありま したね。

内藤: ウン。あれはキックアウトしてくれたオカダに感謝ですね。あの技で勝ってしまった ら、俺はスターダストプレスが必殺技の内藤に戻ってしまいますから。「スターダストで決ま らないから、その先にデスティーノがあるんだ」と。それを見せられた試合だったんですよ。 もちろん、カバーしている時は必死でしたけど、いま考えるとオカダが返してくれてよかった なと思います。

ーーそれにしてもオカダ選手の“化け物”っぷりがよく出た試合でもありましたけど、東京ドー ムのメインイベントで久々に対戦してみていかがでしたか?

内藤: オカダは去年のプロレス大賞のMVPですし、IWGPヘビーの最多防衛を更新したりとか、 去年も4月にIWGPを獲ってから、ずっとチャンピオンのままで来てますよね。俺はそうは思い たくないけど、もう新日本プロレス=IWGPヘビー=オカダじゃないですか?

--そういうイメージは強いですね。

内藤: それだけの自信が彼の身体から溢れて見えたし、オーラも見えたし、「凄い選手になっ たな」と思いましたよ。彼がコーナーに上がってアピールして、向かい合った時に凄い光を感 じました。ただし、今回は「俺も負けてないな」っていう自信が凄くあったんですよ。

※前半はここまで! 後半はKENTA選手の無法介入に関しても言及!